経済産業省は2021年6月4日、「半導体・デジタル産業戦略」を発表した。これは今後の政策の方向性について検討するため本年3月に設置した「半導体・デジタル産業戦略検討会議」の討議をもとに取りまとめたもの。
今回の戦略では、半導体・デジタルインフラ・デジタル産業を取り巻く環境変化および変遷を踏まえ、 それぞれについて、個別戦略を策定している。
半導体産業では、先端半導体製造技術の共同開発と生産能力確保、デジタル投資の加速と先端ロジック半導体の設計・開発の強化、グリーンイノベーション促進、国内半導体産業のポートフォリオとレジリエンス強靭化、を図っていく。
具体的な方向性としては、以下のような点を挙げている。
(1)経済安全保障上の戦略的自立性を強化するため先端ロジック半導体の国内製造基盤の確保を図る。海外ファウンドリとの合弁工場の設立などの方策を検討するとともに、次世代製造技術の国産化を進める。
また、我が国に存在する既存工場については、グローバルサプライチェーンを支える役割を果たしていくため、メモリ、センサ、パワー、マイコンのそれぞれについて、重要な半導体製造拠点の担い手とターゲットを見定め、大胆な刷新を進める。
(2)デジタル・グリーン投資を支える設計開発
5G、AI、自動運転、電動車、再エネ等のデジタル・グリーン投資の世界的な市場拡大をチャンスととらえ、ポスト 5G・Beyond 5G システムやグリーンイノベーションなどを支える半導体設計・技術開発を強化する。
(3)装置・材料のチョークポイント技術強化
経済安全保障上の戦略的不可欠性の獲得・強化を図るため、世界の半導体エコシステム/サプライチェーンを支える製造装置・材料分野について、海外ファウンドリとの共同技術開発などを通じて、チョークポイント技術を磨き上げる。
この実現のために、まず、先端半導体製造プロセスの「前工程(微細化ビヨンド2nm)」「後工程(実装3Dパッケージ)」で、素材・製造装置産業、産業技術総合研究所(産総研)などと連携した技術開発を順次開始する。さらに、こうした開発拠点をベースに、将来の本格的な量産工場立地を目指す。
日本の製造装置・素材産業などと海外の先端ファウンドリとの連携による先端ロジック半導体の製造技術共同開発を推進する「微細化プロセス技術開発プロジェクト」や「3D化プロセス技術開発プロジェクト」などを推進。その他、産総研の「先端半導体製造技術コンソーシアム」やTIA(つくばイノベーションアリーナ)の「半導体オープンイノベーション拠点」など、さまざまな体制の整備を進めていく。