ルネサスエレクトロニクスは2025年6月23日、協業する米半導体大手、Wolfspeedの経営破綻に伴い、約2500億円の損失を2025年6月中間連結決算に計上する見込みであると発表した。ルネサスは2023年7月にWolfspeedとの間でSiCウエーハの供給契約を締結し、20億ドル(約2,920億円)の預託金を提供していた。ところが顧客の電気自動車(EV)需要が低迷したほか、中国メーカーの台頭などもあり、パワー半導体の市場環境が悪化。Wolfspeedは2025年5月には法的再建手続きを実施する可能性があることも明らかにしていた。

ルネサスはWolfspeedと経営再建支援契約を締結。Wolfspeedは近く、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を裁判所に申請する。裁判所の認可を経たのち、2025年9月までに同社への預託金や出資金が普通株式と転換社債に転換される見通しである。

これにより、ルネサスのWolfspeedへの出資比率は29.8%(議決権ベースでは9.9%)となるほか、5%の新株予約権も得る。29.8%のうちの11.8%分が預託金のうち2億400万ドルにあたる転換社債で、17.9%分が普通株となる。預託金との差分である約2,500億円が損失として計上される。

ルネサスは通期の業績予想については開示していない。なお、同社は2025年からSiCパワー半導体の量産を開始する計画であったが、EV需要低迷と中国企業の台頭を背景に断念している。

出典:ルネサスエレクトロニクス ニュースルーム