東レエンジニアリングは2025年3月26日、パネルレベルパッケージ(PLP)に対応した半導体実装装置(ボンダ)「UC5000」を開発、2025年4月から本格販売を開始すると発表した。大型ガラスパネルへのTCB実装が可能となっており、次世代半導体パッケージの製造に貢献する。

近年、AI(人工知能)の普及を背景とした半導体の高機能化に伴い、複数のチップを一つのパッケージに実装する「チップレット」が注目されている。この技術では、チップ間を高速で伝送するためのインターポーザを用いるなど、シリコンウエーハをベースとしたウエーハレベルパッケージが主流だったが、パッケージの大型化に際し、ウエーハが大型化できないこと、丸形のウエーハから角型を切り出す効率の悪さなどが問題となっていた。そこでウエーハよりも大きなサイズで角型が可能なガラスパネルをベースとしたPLPが注目を集めている。

しかし、ガラスパネルはウエーハに比べて反りが大きく搬送が困難なこと、ヒーターの大型化に伴い、装置内での熱制御や熱による材料の膨張・収縮を加味しながら高精度実装を実現することに課題があった。同社はこうした背景から「UC5000」の開発に踏み切った。

同装置は、SEMI規格に準拠した515mm×510mm、600mm×600mmパネルに熱圧着(TCB)で±0.8umの高精度でチップを実装する。また、最大で6mm反ったパネルの搬送技術も有しているほか、テープフィーダーでのチップ供給も可能となっている。

加えて、熱影響による精度ズレを低減するための装置内温度コントロール機能と生産性を低下せずにチップ毎に実施可能な自動キャリブレーション機能をもつ。カスタマイズも可能で、アライントカメラとボンディングヘッドを交換することで、ブリッジチップからロジックダイまで幅広いデバイスに対応する。また、半導体後工程で採用され始めたSEMI規格対応FOUP(パネル/テープフレーム)にも対応、最新の工場での量産にも対応できる。

同社は「UC5000」を半導体製造装置メーカーや基板メーカーに販売し、2025年度に30億円、2030年度に100億円の受注高を目指すとしている。なお、同社は同装置の他、大型ガラス基板遺物検査装置「HSシリーズ」やPLP対応高性能コーター「TRENG-PLPコーター」、大型ガラス基板検査装置「INSPECTRA」もラインナップしており、「UC5000」とセットで販売することも検討しているという。