GNC letter
GNCレター
半導体メモリ大手、韓SK hynixは3月19日、AI(人工知能)の演算処理に欠かせないHBM(高帯幅域メモリ)の次世代品(6世代)である12層の「HBM4」のサンプルを世界で初めて主要顧客に出荷したと発表した。
同社はHBMで世界トップのシェアを誇る。2022年に「HBM3」を出荷して以来、2024年に「HBM3E」8層品、12層品を世界で初めて量産に成功した実績を持つ。また、AI半導体大手、米NVIDIAのGPU向けのHBMの殆どを同社が供給している。
今回サンプル出荷した「HBM4」12層品は、は毎秒2TB以上のデータを処理可能となる。これはFHD(Full-HD)級の映画(5GB程度)400本以上の分量を1秒で処理できるレベルであり、前世代品(HBM3E)に比べ、60%以上高速化した。また、容量についても、同社のコア技術である「Advenced MR-MUF」工程を適用し、12層製品基準で最高の容量である36GBを実現した。また、同工程により、チップの反りを制御でき、放熱性能も向上し、製品の安定性も最大限に高められたという。
「HBM4」はもともと2026年に製品化される見込みとなっていた。ところが、一部のメディアによると、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOがSK hynixや韓サムスン電子に対し、「HBM4」の供給を6カ月前倒ししろと求めたということであり、各社が開発を急いでいた。結果として、HBM市場でトップシェアを誇るSK hynixが次世代品の開発競争でも優位に立つこととなった。
「HBM4」12層品のサンプルの出荷先は明かされていないが、NVIDIAのほか、米Broadcomなどにも出荷されたものと見られる。今後、認証プロセスを経て、2025年下半期にも量産が開始される見込みである。
なお、SK hynixは2026年には「HBM4」の16層製品の量産を開始する計画である。次世代HBMにおいても同社が市場を引き続きリードしていく。
半導体/MEMS/ディスプレイのWEBEXHIBITION(WEB展示会)による製品・サービスのマッチングサービス SEMI-NET(セミネット)