半導体製造装置大手、米Lam Researchは2月19日、半導体のメタライゼーションにモリブデン(Mo)を使用する、世界初のALD装置「ALTUS Halo」を発表した。AIやクラウド・コンピューティング、次世代スマートデバイス向けの高性能メモリやロジック半導体への活用が期待される。

従来、半導体のメタライゼーションにおいて銅(Cu)が使えない場合、耐熱性などの観点からタングステン(W)が用いられてきた。しかし、従来のタングステンベースの配線では、不要な電気的相互作用を防ぐために余分なバリア層が追加されるため、NAND、DRAM、ロジックが3D集積を含むより複雑なアーキテクチャにスケールアップするにつれ、電気信号はより制限された接続を通過する必要があり、ボトルネックや速度低下の可能性が高まり、場合によってはショートする可能性もある。このため、半導体メーカー各社が将来的にNAND、DRAM、ロジックデバイスの規模を拡大するためにはタングステンよりも低抵抗な素材への転換が求められる。

同社は従来のタングステンに代わる素材として、モリブデンという金属に着目。モリブデンはタングステンに比べナノスケールのワイヤーにおける抵抗率が低く、接着層やバリア層を必要とせず、耐熱性も備える素材であるため、エネルギー効率が高く、チップ速度の向上に最適である。同社は数十年わたるメタライゼーションと先端開発の専門知識を基にして、モリブデンを使用したALD成膜装置を初めて量産可能にした。同装置を使用すると、従来のタングステンメタライゼーションと比較して50%以上の抵抗改善効果を発揮するという。

同装置は韓国とシンガポールに工場を持つ大手3D NANDメーカーと先端ロジック工場において既に早期採用が始まっているという。また、DRAMメーカーについては適用に向けて開発段階にあるとのことである。