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GNCレター
ジャパンディスプレイ(JDI)は2月12日、2026年3月を目途に茂原工場(千葉県茂原市)でのパネル生産を終了すると発表した。ディスプレイ事業の低迷による慢性的な赤字体質から脱却するため、比較的固定費の安い石川工場(石川県川北町)に生産機能を集約させる。
同社のコア事業である車載・スマートウォッチ・仮想現実(VR)向けパネルは顧客需要が軟化により減収、ノンコア事業であるスマートフォン向けパネルについても需要縮小に合わせた戦略的事業縮小により減収となり、純利益も慢性的な赤字が続いている。同社はディスプレイ事業に依存する現在の状況を改善し、黒字への転換を図るとともに、高成長分野であるセンサー&ソリューション及び先端半導体パッケージング事業への参入を図る、「BEYOND DISPLAY」という戦略を掲げている。
同社は「BEYOND DISPLAY」実現のため、ディスプレイ事業についてはアセットライト化と生産効率の大幅な向上が不可欠であると判断し、固定費負担の大きい茂原工場(基板サイズG6)でのパネル生産を終了し、固定費が茂原工場の4分の1で、基板サイズも先端半導体パッケージングとセンサーの生産において有利なG4.5である石川工場に生産機能を集約することを決定した。
現在、茂原工場で生産中の車載用を中心とするパネルは、顧客と協議のうえ、作り溜めや石川工場への生産移管を行うほか、同社が設計したパネルをファウンドリーパートナーから調達するなどして供給責任を果たすとしている。また、OLEDディスプレイについては、茂原工場の生産終了に伴い自社生産を中断する。次世代OLEDディスプレイ「eLEAP」の生産も同工場で予定していたが、同製品のファブレス事業展開とグローバルエコシステムの構築に向け、委託生産先との協議を進めているとのこと。
今後、石川工場には茂原工場のG6液晶セル工程の設備を一部移設し、ファウンドリーパートナーからG6基板の調達を行う予定。また、高付加価値ディスプレイ、センサー、先端半導体パッケージングを同時に生産する「MULTI-FAB工場」とし、柔軟性、生産性、コスト競争力の極めて高い生産体制を構築するとしている。
なお、茂原工場は今後、広大な面積や電力、水の供給資源などを活かし、AIデータセンターに転換、売却する方針である。
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