本田技研工業(Honda)とルネサスエレクトロニクスは1月7日、米ラスベガスで開催されたテクノロジーの見本市「CES2025」の「Hondaプレスカンファレンス」において、SDV(ソフトウェア定義型自動車)用の高性能SoC(システム・オン・チップ)の開発契約を締結したと発表した。業界トップクラスとなるAI性能と電力効率の実現を目指す。Hondaの新たなEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の2020年代後半以降に発売するモデルへの搭載を予定している。

ルネサスは自動車メーカーが取り組むSDVの実現に向けて、車載用半導体の開発に注力している。2024年11月にはR-Car第5世代品の第1弾となる「R-Car X5H」を発売した。同製品はTSMCの車載用3nmプロセスを採用し、5nmプロセス採用品と比べ30~35%の低消費電力化を実現。400TOPSのAI機能や4TFLOPSのGPUを搭載するほか、外付けのNPUまたはGPUチップレットを集積するマルチダイシステムとすることで、さらなる演算能力の向上を実現した。

Hondaが展開予定の「Honda 0シリーズ」にはセントラルアーキテクチャ型のE&Eアーキテクチャを採用する。SDVの中心となるコアECUは、AD/ADASといった運転支援やパワートレイン制御、快適装備など、車両のさまざまなシステムを一元的に管理するが、そのためにはより高い処理能力を持ちつつ、消費電力を抑制する高性能SoCが必要となる。

両社が開発するSoCは、「R-Car X5シリーズ」にHonda独自のAIソフトウェアに最適化された1600TOPSのAIアクセラレータを、マルチダイチップレット技術によって組み合わせたシステム。これにより、業界トップクラスとなるAI性能2000TOPS、電力効率20TOPS/Wを実現する。また、チップレット技術により、将来的には必要な機能と性能に合わせて柔軟にカスタマイズでき、機能拡張も可能となる。