半導体製造装置などの国際展示会「SEMICON JAPAN」が12月11日~13日に東京ビッグサイトで開催された。35ヵ国・地域から1101の企業・団体が出展した。来場者数は正式には発表されていないが、昨年比約2割増の10万人余りが来場したものとみられる。

初日のオープニングイベントには甘利明・前衆院議員(半導体戦略推進議員連盟名誉会長)が登壇。「先端半導体の生産を台湾積体電路製造(TSMC)1社が担うことが世界最大のリスクだ」と述べ、Rapidusが国内で先端半導体を製造することの意義を強調した。

同じくオープニングイベントに登壇した半導体の国際業界団体SEMIのアジット・マノチャ最高経営責任者(CEO)は今後の半導体業界の市場展望について、「AIや、量子コンピューティングの波により半導体市場は40年ごろに2兆ドルを超える」と予測した。

12日にはアナリストらによるパネルディスカッションが開かれた。ここには証券アナリスト4名が参加したが、全員が中国向け需要の動向が最大のリスクになるとの見方を示した。トランプ次期米政権の成立により、対中規制はさらに強くなると見込まれており、中国市場は最悪の場合、5割減となる可能性も否定できないという。みずほ証券の山田幹也シニアアナリスト「対中規制の強化を見越し、中国から米国を含め他の顧客にスコープを柔軟に広げることが重要だ」と述べた。

最終日には半導体大手の首脳が相次ぎ登壇。半導体メモリ大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)の早坂伸夫社長は「現行のNAND型フラッシュに加えて、新しいメモリを開発したい思いがある」と述べた。NAND専業による市況変動リスクを抑えたい狙いがあるとみられる。

Rapidusの清水敦男専務は「北海道工場は人工知能(AI)を駆使し、(半導体部材を)縦横無尽に運ぶ全く新しい搬送システムを導入する」と述べ、単純な動きしかできない従来の搬送方法を改善することにより、半導体製造の効率を向上させる計画であることを示した。

米IBMのムケシュ・カレ氏はRapidusが量産を目指す2nmの先端半導体について、「『7nm』のものに比べ電力消費が75%少ない」と述べ、電力効率を一つの強みにできるという見方を示した。

上述のイベントの他、様々なセミナーも開催され、会場は大いににぎわった一方、会場で目立ったのは実機の展示のないブースであった。多くのブースでは商談やもてなし用のテーブルや会議室が設置され、東京エレクトロンやKOKUSAI ELECTRICをはじめとした大手半導体装置メーカーでも実機の代わりに装置の特徴を紹介するパネルが展示されるのみで、実機を展示していたのはディスコなどの少数にとどまった。