田中貴金属工業は3月7日、同社の開発した金・金接合用低温焼成ペースト「オーロフューズ」を活用した高密度実装向け金(Au)粒子接合技術を確立したと発表した。

「オーロフューズ」は、サブミクロンサイズの金粒子と溶剤のみで構成され、低電気抵抗かつ高熱伝導率に加え、低温で金属接合を実現する接合材料。同社は半導体の高密度実装を実現するため、多孔質による凹凸追従性、低温かつ低加圧で接合可能という特徴を持つ同材料を活用した研究開発を進めてきた。当初は主流な使用方法であるディスペンスやピン転写、スクリーン印刷法による実現を目指したが、ペーストの流動性により、高密度実装には不向きだった。

今回確立した技術では、同材料の乾燥体である「オーロフューズプリフォーム」を使用。接合前にペーストを乾燥させることで横広がりを抑えた。その結果、20㎛サイズで4㎛間隙の狭ピッチ実装を実現した。「オーロフューズプリフォーム」は200℃、20MPa、10秒の熱圧着後で、圧縮方向に約10%の収縮率を示しながら水平方向への変形は少なく、実用化に十分耐えうる接合強度をもつAuバンプとして用いることができる。また、多孔質構造であることから変形が容易で電極間に高低差がある場合や、基板の反り、厚みの差がある場合でも接合を可能にする。さらに化学安定性に優れるAuを主成分としているため、実装後の高信頼性も持ち合わせることも強みである。

半導体における配線の微細化・多種チップの集積を可能とする技術であり、 発光ダイオードや半導体レーザーといった光デバイスをはじめ、パソコン・スマートフォンなどのデジタルデバイスでの活用や車載部品などへの活用が見込まれる。

出典:田中貴金属工業 ニュースリリース