JOLEDは2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てをしたと発表した。負債総額は約330億円とみられる。。同申立ては、同日受理され、同裁判所より弁済禁止等の保全処分及び監督命令が発令され、片山英二弁護士が監督委員として選任された。負債総額は約337億円。製造、販売事業から撤退し、石川県能美市、千葉県茂原市の工場は閉鎖する。従業員380名のうち開発事業以外の280名は順次解雇する。

同社はソニー、パナソニック、ジャパンディスプレイ(JDI)の有機ELディスプレイ(OLED)事業を統合して設立された。INCJ(旧産業革新機構)などの出資を受け、世界唯一である印刷方式によるパネル製造を行なってきた。特に中型ディスプレイの製造に強みを持っており、2021年には、テレビ向けOLEDパネルで世界最大手の韓LGに32.5インチの「LG UltraFine Display OLED Pro」向けのOLEDパネルを供給している。近年では、中型OLEDパネルの需要がハイエンド向けに徐々に高まっており、台湾のASUS、ゲーミングブランドのAK Racing等に供給を行なってきた。 JOLEDが展開する印刷方式は、RGBサブピクセル層を印刷によって、一括形成を行う。スパッタリング装置やメタルマスクが不要になることで、コストも安価に製造できるとされてきたが、中型ディスプレイ分野はスマートフォンやウェアラブルデバイス向け、大型テレビ向けと比較しても市場が極めて小さく、 AK Racingが販売している27インチゲーミングモニターは実売価格が19万円と、LGのOLED EVOを搭載した上位の55型OLEDテレビと変わらない金額で販売されており、少量の販売に留まっていたと見られる。2022年3月期末時点で債務超過に陥っていた。

なお、同日、株式会社ジャパンディスプレイ(JDI)との間で、同社の技術開発ビジネス事業の再生支援に関する「基本合意書」を締結している。これにより同社の技術開発ビジネス事業についてスポンサー支援を受けることについて合意した。今後、当社の技術開発ビジネス事業については、ジャパンディスプレイの支援の下、再建を図ることを予定している。