メモリ大手、韓SK hynixは9月2日、量産用のHigh NA EUV露光装置を韓国・利川市のファブ「M16」に導入したと発表した。量産用の高NA EUV露光装置が導入されるのはメモリ業界で初めてとなる。

EUV露光装置は先端半導体製造には不可欠な装置で、現在は蘭ASMLのみが製造している。同社は2021年に10nmプロセス技術の第4世代である「1αnm世代」からEUV露光装置を導入して以来、DRAMへのEUV露光装置の適用を持続的に拡大してきた。ところが、将来の半導体市場で求められる微細化や高集積化のためには既存のEUV露光装置を超える次世代技術が必要であると判断した。

今回導入される装置はASML製の「TWINSCAN EXE:5200B」。同装置はHigh NA EUV露光装置初の量産用モデルである。1時間あたりのスループットが175枚以上とされており、Intelのファウンドリが先んじて導入したプロトタイプ機である「TWINSCAN EXE:5000」と比べて生産性を60%高めることができるとされる。SK hynixによれば、既存EUV(NA 0.33)に比べ、40%向上した光学技術(NA 0.55)により、1.7倍精密な回路形成が可能になるとともに、2.9倍高い集積度を実現できるという。

SK hynixは現在、NVIDIAのGPU(画像処理半導体)に使われるHBM(高帯幅域メモリ)の大半を供給しており、DRAM市場のトップを独走している。SK hynixはこの装置の導入を通して、既存EUVプロセスを簡素化し、次世代メモリ開発の速度を速め、製品性能と競争力を同時に確保する計画である。また、これにより、高付加価値メモリ市場での地位を強化し、技術的なリーダーシップもより一層強固なものにすることが期待されている。

SK hynixのチャ・ソニョンCTOは、「今回の装置導入により、会社が推進中である未来の技術ビジョンを実現するための核心インフラを確保した」とし、「急成長するAIと次世代コンピューティング市場が求める最先端メモリを最も進んだ技術で開発し、AIメモリ市場を先導する」と強調した。

出典:SK Hynix Press Release