半導体材料大手の富士フイルムは2025年5月7日、インドの大手財閥、Tataグループ傘下で半導体事業を担うTata Electronicsとインド国内での半導体材料の生産体制及びサプライチェーン構築のための提携を結んだと発表した。

Tata Electronicsはインドのグジャラート州ドレラに、同国初の半導体前工程製造工場を、アッサム州ジャギロードに大規模な半導体後工程製造構造を建設している。富士フイルムは、前工程から後工程まで幅広い分野の半導体材料を製造する強みを生かし、Tata Electronicsによる半導体製造プロセスのニーズに合った材料を開発・提供することで、同社によるインド初の半導体製造を支援する。

また、富士フイルムはインド国内に半導体材料工場を建設する計画も発表した。グジャラート州が候補地となっており、2025年中に土地を取得し、2026年にも着工する。総投資額は数十億円を見込んでおり、高純度プロセスケミカルやレジスト現像液などを生産する予定。生産のための原材料もインド国内からの調達を目指す。新工場は2028年の稼働開始を見込んでおり、それまでは欧米やアジアにある既存拠点から材料を供給するとみられる。なお、稼働開始後はTata Electronics以外のインド国内の半導体向上にも供給し、シンガポールなど、アジア向けの輸出も視野に入れているという。

米中対立などを背景にインドでの半導体生産体制の構築が進んでおり、半導体関連企業のインド進出が相次ぐ。富士フイルムも半導体材料事業の成長に向けた好機と判断した形だ。