ようやく、全国的に緊急事態宣言が解除された。ニュースでは、既に人が街中に戻ってきている事が報道されているが、その一方で、日立製作所やリコーなどの上場企業は、今後も在宅勤務をベースとした勤務形態にしていく事を発表している。

居酒屋や映画館といった娯楽施設も徐々に営業が解除されるようになった。
その一方で、街中で見かける人の殆どがマスクを着けての移動や仕事をしている。
感染したくない、させたくないといった人々の気持ちと、同調圧力で着けている人双方がいるだろう。そして、再開した店舗や娯楽施設は、感染者数の推移もあると思うが、今後どれだけ人が戻って来るのか、関係者はまだ不安の渦中にいると推測する。

緊急事態宣言真っ只中だった2020年4月24日、国土交通省はスマートシティの先行モデルプロジェクトに選定した15事業のスマートシティ実現に向けた実行計画が策定されたと発表した。国土交通省では、全国の取り組みを牽引する先駆的な取り組みを行う「先行モデルプロジェクト」15事業を昨年5月に選定し、スマートシティの実現に向けた具体的な計画となる実行計画の策定に向け、資金、ノウハウの両面から支援してきた。

今回、15の各事業が都市・地域における将来像、将来像の実現に向けた課題や取り組み、社会実装に向けたロードマップ、社会実装後の持続可能な取り組み体制などを示したスマートシティ実行計画を策定した。

下記に1部の都市の取組みを挙げて行く。

三次市の「中山間地・自立モデル検討事業実行計画」は、自家用旅客運送サービスを軸としたシームレスな乗り継ぎサービス、貨客混載輸送サービス、地域内移動や住民交流の活性化に資する取組などを展開することで、持続可能な中山間地型のスマートコミュニティモデルの構築を目指す。マツダやデンソーも参加する。

つくば市の「スマートシティ「つくばモデル」実行計画」では、高齢者の交通移動弱者の社会参画を促すため、自家用車に依存することなく、安心・安全・快適に移動できるモビリティを提供することで外出しやすいまちを目指す計画を策定した。

毛呂山町の「スマートシティ先行モデル事業実行計画」では、飛び地のニュータウンで鉄道駅徒歩圏外である目白台地区に、独立採算による鉄道駅までの自動運転バスを実装し、中山間地域への展開も検討する。

春日井市の「高蔵寺ニューモビリティタウン実行計画」では、移動課題を解決する様々なモビリティの提供や地域の生活を支えるエリアマネジメントの実現など、交通のベストミックスによる「高蔵寺ニューモビリティタウン」を実現し、新たな若い世代への居住促進と全ての住民への安らぎを提供する。

それに加え、緊急事態宣言が出る直前にはトヨタ自動車とNTTが、スマートシティの建設のために業務提携することが発表されていた。

スマートシティ計画が進行すれば、人と人との接触を今後もっと減らすことができる。例を挙げると、
・より正確なオンラインによる診療
・無人モビリティによる、高齢者を始めとした乗客の輸送
・無人モビリティ、ロボットやドローンによる配達
といった、今回コロナ蔓延下の中で不安を持って働くことを強いられた職業をシステムが代行することができる。
間にシステムが入る事によって、今回露呈した通販でものを購入する申し訳無さ、外出のしづらさ、病院の受診の問題が解決される可能性があり、「新しい生活様式」を定着させる上でも役立てる部分が今後出てくる。

感染症という思わぬ「ブラック・スワン」によって、スマートシティが今後勢い付いて普及するのか、そして日本がスマートシティで主導権を握れるのか。
今後の半導体産業が注目するべき分野である。