世界半導体貿易統計(WSTS)は12月3日、2025年の世界半導体市場が前年比11.2%増の6,972億ドルに達するという予測を発表した。2024年の市場が好調に推移したことから従来の予測を上方修正した。

WSTSによると、2025年の半導体市場は包括的な成長期に入る見通しである。ロジック部門については、人工知能(AI)や高性能コンピューティング需要の継続的な拡大を背景に、17%以上の成長率が維持されると予測している。また、メモリ部門についてもデータセンターの拡大やエッジコンピューティングの普及により、高性能メモリ需要が底堅く推移することで、13%という堅調な成長率が見込まれている。

そのほかの半導体カテゴリについても、一桁台ながらも安定的な市場拡大が見込まれる。特にアナログ半導体やセンサー類については、自動車産業のEV化や産業機器のスマート化を背景に、安定した成長が期待されている。

また、世界経済の緩やかな成長を契機として、全地域で市場拡大が期待されるという。具体的には、米州ではクラウドサービスプロバイダの設備投資拡大や「CHIPS法」をはじめとする政府による半導体産業支援策の効果により、大きな成長が期待されており、前年比15.4%増と予測されている。アジア大洋州でも中国を中心とする製造業の回復や5Gインフラ整備の本格化により、同10.4%増となる見通しだ。また、日本(同9.4%増、519億ドル)は円ベースで8.3%増と成長が継続し、市場規模は約7兆7,240億円と予測されている。一方、欧州市場は同3.3%増となり、成長はするものの、他地域に比べると非常に緩やかである。

半導体業界全体は高い成長を維持し続けるものと見られている一方、地域間における不均衡の問題も残存する。グローバルサプライチェーンを強固なものにするため、この不均衡の解消が重要な課題となる。