韓国・SK Hynixのクァク・ノジョン最高経営責任者(CEO)は5月2日、本社のある京畿道利川で行った記者会見で、生成AIに用いる高帯域メモリ(HBM)が2025年の生産分までほぼ完売したと明らかにした。

HBMは同社の主力商品。現在はDRAMチップを8層重ねた「HBM3E」をAI半導体大手の米NVIDIAに独占供給している。AI向け需要の急速な拡大により、同社の業績は大幅に伸び、2024年1~3月期には3兆ウォン(約3,350億円)近い営業利益を出している。

同社のAI・インフラ担当のキム・ジュソン社長は「処理すべきデータが急増するAI時代が開かれ、メモリ半導体産業は構造から変えるべきパラダイム転換を迎えた」とし「昨年AIメモリ(HBM)売上高は市場全体の5%だったが、2028年には61%に高まるだろう」と述べ、今後更にHBMの需要が拡大していく見通しを示した。

また、クァクCEOは「HBM3Eの12層製品の量産が7~9月期に可能になるように準備中」であることも明らかにした。現在は同社が8層製品でAI用メモリ市場をリードしているが、同社と競合する韓国・サムスン電子は4月30日に12層HBM3Eを4~6月期に量産開始すると明らかにしている。SK Hynixはこれに対抗する形で、12層製品の量産時期を当初の予定より早めたことになる。

なお、同社は先月、HBMの更なる技術向上を目指し、台湾・TSMCと次世代パッケージングのための技術共同開発協約(MOU)を締結し、米インディアナ州に先端パッケージング工場を建設する計画であると明らかにしている。同工場では2028年より16層の「HBM4」を量産する予定である。