3月24日、中国政府がパソコンなどの政府調達で使用する半導体から米Intel、AMDなど米国企業の製品を排除することを定めた指針を導入したことが明らかになった。中国政府は2018年にOSやパソコンについて推奨企業を既に定めており、OSは米Microsoft製から中国企業の製品に、パソコンも米HPなどの米国製から中国国有企業などの中国製に順次置き換わっているが、同指針により米国製がほぼ使用不可能になる。

中国の財政相と工業情報化省が2023年12月下旬、中央政府の組織と地方政府に政府調達に関する通知を出したことがわかっている。CPUとOS、集権的なデータベースについて、安全上の理由から、中国情報技術安全評価センターの評価結果に基づいて政府が指定する製品を使用するよう求めた。町村単位以上の政府機関はIT機器購入の際、評価基準を満たすCPUやOSを選ぶよう指示されているという。

同センターは18種類のCPUについて、安全で信頼できるとの評価結果を発表しているが、これらはHuawei傘下の海思半導体(ハイシリコン)や竜芯中科技術など、すべて中国企業が手掛ける製品であった。なお、OSも含めて、国外製品で同様の評価を得た製品は存在しないとみられる。

今回の指針が導入されたことで、中国の政府機関が購入するパソコンなどは原則として中国企業が手掛けるCPUを搭載することが条件となるため、IntelやAMDなどが製造したCPUを搭載した製品は排除される可能性が高い。

なお、スマートフォンについても、政府機関では2023年から、公務で米AppleのiPhoneの使用を制限し、Huaweiなど中国製品を使用するよう指示している。

中国では現状7nm工程の半導体が生産されていることが確認されているが、最先端技術はまだ獲得していないものとみられる。政府機関が米国製品を除外することにより、その代替品の生産が急がれ、先端半導体の開発が加速する可能性がある。