JX金属は3月6日、茨城県ひたちなか市に建設中の「ひたちなか新工場」の投資計画を一部変更すると発表した。2023年9月の台風13号で被害を受けた日立事業所の復旧に向けた検討を契機に直近の各製品における投資の必要性を踏まえて精査した結果としている。

具体的には、新工場で検討していたスマートフォン向けの圧延銅箔・高機能銅合金条への投資を見送る一方、収益性が高い半導体用スパッタリングターゲットを中心とした半導体材料を増強する。これに加え、限られた平地に多くの設備・施設を有する日立事業所を今後も最大限活用するため、同事業所にある廃基板類(Eスクラップ)の集荷ヤードとサンプリング設備をひたちなか新工場に移転する。また、投資総額は従来の約2,000億円から約1,500億円に減らす。今回の計画見直しにより多少の遅れが発生するものの、新工場の試運転は当初の予定通り2025年度中を目標とする。

今回の決定には世界的なスマートフォン市場成熟により、圧延銅箔・銅合金条需要の先行きが見通しにくいこと、半導体市場の今後の更なる拡大が見込まれるという背景がある。同社はスパッタリングターゲットで世界シェア首位を誇っており、不透明な事業への投資よりも、主力事業を増強する方が確実であると判断したとみられる。なお、今後の半導体市場の動向を踏まえ、半導体材料の将来的な追加投資も検討するとしている。

出典:JX金属株式会社ニュースリリース