韓国・サムスン電子が日本の人工知能(AI)を手掛けるスタートアップ、プリファードネットワークス(Preferred Networks、PFN)から2nm半導体の委託生産契約を受注したことが2月15日に明らかになった。

PFNは2014年に設立され、AIディープラーニング開発分野で専門性を認められ、トヨタ自動車、NTT、FANUCなど、様々な業種の主要企業から大規模投資を誘致してきた。独自のソフトウェアをはじめ、スーパーコンピューターを制作し、顧客に納品してきた実績を持つ。

サムスン電子はファウンドリ部門で世界シェア第2位であり、第1位の台湾・TSMCを追いかけている。2023年にはTSMCと3nmプロセスの導入で競合し、6月には世界で初めて次世代トランジスタの「GAA(Gate-All-Around)」を適用した3nmプロセスを導入することで技術的優位に立った。それに続き、2nmプロセスでも同社との競争を繰り広げることになる。TSMCは2nm試作品工程テストの結果をAppleやNVIDIAなどの主要取引先に公開し、2025年の量産を目標とするなど、現状では2nmプロセスの競争の先頭に立っている。一方のサムスン電子は、2023年6月に2nmプロセスの具体的なロードマップを発表し、AI半導体顧客の確保に集中してきた。

今回の委託生産契約受注により、AI分野で頭角を現す企業の最先端チップを生産することで、以降に超大型受注を得る可能性を高めることが出来るというところに大きな意味がある。サムスン電子は、最先端チップの生産事例とプロセス経験を備えて2nm時代に突入すれば、ファウンドリ世界1位のTSMCに遅れていた技術を手に入れることが出来ると自信を持っている。

サムスン電子デバイスソリューション部門の慶桂顕(キョン・ゲヒョン)部門長は2023年5月に、「2nm工程からは業界1位もGAAを導入するだろう。5年以内に技術で業界1位に追いつく」と述べていたが、この目標に向けた大きな一歩となるとみられる。