半導体受託生産最大手の台湾・TSMCは1月18日、2023年度決算の詳細を発表した。これによると、同社の2023年の売上高は前年比4.5%減の2兆1,617億台湾ドルで、2009年以来14年ぶりに前年の売り上げを下回る結果となった。

同社はこの結果について、スマートフォン・パソコン向けなどの半導体の売り上げが落ち込んだためと説明している。テレワークの普及を背景とした需要の停滞により、世界的な市況が悪化したことが要因とみられる。

ただ、2023年度第4四半期(10~12月)の売上高は6,255億台湾ドルで、前期比13.6%増、前年同期比±0.0%となり、第2四半期を底として売り上げが回復し、第4四半期は過去最高だった2022年第4四半期と並ぶ水準となった。

内訳をみると、2023年全期ではHPC向けの売り上げが43%を占め、スマートフォン向けの売り上げが38%となった。AI半導体の需要がこれをHPC向けの売り上げを牽引しているためとみられる。一方のスマートフォン向けは上半期には相当な落ち込みを見せていたが、下半期には需要が回復し、第4四半期の内訳ではHPC向けと同率の43%を占めている。2023年9月発売のAppleの「iPhone15シリーズ」の上位機種「Pro」「Pro MAX」が寄与しているとみられる。

また、同社は2024年12月期の予想も発表。3nmノード品やAI半導体の需要が増加することから、通期の売上高を前期比2割増となり、過去最高を更新するとの予測を示した。半導体不況の完全な脱却の兆しははっきりと見えており、2024年以降は市場の更なる成長が期待されている。