自動車部品大手の独・BOSCHと半導体設計開発を担う米・Qualcommは1月4日、ネバダ州ラスベガスで開催されたCES 2024で、1つのシステム・オン・チップ(SoC)でインフォテインメント機能と先進運転支援システム(ADAS)を実行できる車両中央コンピュータを自動車業界で初めて発表した。

Qualcommは車載半導体の設計に強みを持ち、二輪車やマイクロモビリティセグメントのサポートを含め、すべての主要な車両分野にわたる自動車技術の幅広いポートフォリオを提供している。同社のSnapdragonデジタルシャーシソリューションは、2023年だけでも75モデル以上、3億5,000万台以上の車両に搭載されている。

両社はこれまでにも、いくつかの車載インフォテインメント(IVI)プロジェクトを成功させており、車載半導体分野においてグローバルな顧客基盤を確立してきた。また、Qualcommは今回の協力関係について、「ソフトウェア定義の自動車の未来を明確にする高度に統合されたソリューションの開発における両社の長年にわたる関係の成果である」としている。

今回BOSCHが開発したのは、Qualcommの「Snapdragon Ride Flex」SoCをベースとしたコックピット&ADAS統合プラットフォームである。搭載されるFlex SoCはミックスド・クリティカル・ワークロードをサポートするように設計されており、デジタル・コックピット、ADAS、および自動運転(AD)機能を1つのSoCで共同実装できる。これにより各自動車メーカーは、エントリークラスからプレミアムクラスまで拡張可能な、統合されたセントラル・コンピュート・アーキテクチャーとソフトウェア定義の車両アーキテクチャーを実現できる。また、インフォテインメント、車両ライフサイクル管理や、物体/信号/車線検出、自動駐車、ナビゲーションなどのADAS機能により、充実したユーザー体験を実現できる。

Qualcommのオートモーティブ&クラウドコンピューティング担当シニア・バイス・プレジデント兼GMのNakul Duggal氏は、「インフォテインメントとADASの機能を1つのSoCに統合することは、自動車メーカーが次世代のソフトウェア定義車両を実現するための高性能でスケーラブルなソリューションを提供し、業界にとって画期的なことだ」と述べた。また、BOSCHのクロスドメイン・コンピューティング・ソリューション部門プレジデントのChristoph Hartung氏は、「このコスト効率に優れたソリューションにより、エントリーレベルやミッドレンジのセグメントを含め、より多くのADAS機能を自動車に搭載する道を開くことができる」と、今後の可能性を述べた。