韓国・ソウル中央地検情報技術犯罪捜査部は1月3日、元サムスン電子部長と半導体装置納品企業のEUGENE TECHNOLOGYの元部長を「産業技術の流出防止及び保護に関する法律」違反の容疑で起訴した。

検察によると、元サムスン電子部長らは国家核心技術であるサムスン電子の18nm DRAM半導体工程技術を中国・CXMTに無断で流出させた疑い。証拠隠滅の恐れから拘束令状を請求し、12月15日に身柄を拘束していた。

元サムスン電子部長は2016年に、当時新生企業であったCXMTに転職しながら、半導体の蒸着関連資料と7件の核心工程関連技術資料を流出させ、数百億ウォンの金品を受け取ったとみられる。検察はこれに加え、サムスン電子の退職前に装置の図面を持ち出し、模倣装置を作成した証拠も確保した。また、少なくとも5億ウォンを超える金額を提示し、サムスン電子と関連企業の技術者約20名を引き抜いたことがわかっている。一方の元EUGENE TECHNOLOGY部長は元サムスン電子部長と共謀し、半導体蒸着装置の設計技術資料をCXMTに渡した容疑を受けている。これらの技術流出に関する被害額は数兆ウォンに上るものと見られる。

この事件に関連してパク・ジェグン漢陽大教授は「8大工程のうち唯一韓国が世界最高水準の技術力とシェアを誇っているのがALDだが、これを持ち出したらどうなるだろうか。中国が突然、トップレベルに追いつけるようになってしまう」と危機感を強調した。

検察関係者は、「昨年5月に国家情報院でこれらの技術流出の状況を捉え、捜査を依頼したが、事件の中核関係者が中国に滞在し続けていたため、捜査が遅れた」とし、「共犯等、関与者が数十名を超えるものと見られ、捜査を継続する予定」であると述べた。

中国のCXMTは、中国内でDRAMのトップメーカーであり、合肥市の工場で19nmプロセスを用いたDDR4、LPDDR4 DRAMを量産している。現在は17nmノードを用いた第2ラインの立ち上げも進めている。今回の事件による今後のCXMTへの影響が注目される。