11月16日、米国の半導体製造装置最大手、Applied Materials(AMAT)が規制をすり抜けて、中国半導体最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)に製造装置を輸出した疑いで刑事捜査を受けていることが明らかになった。

米政府は中国向けの先端半導体と先端半導体製造装置の輸出について、国家安全保障を理由に制限しており、中国顧客への出荷のためには許可が必要となっている。また、2023年になってからは規制違反を取り締まるための特別チームを編成して調査を行っている。

関係者によれば、同社は正式な輸出許可を得ないまま、米ロードアイランド州グロスターの工場から韓国の子会社に半導体製造装置を出荷し、そこからSMICに装置が送られたとのことである。この輸出には数億ドル相当の半導体製造装置が含まれていたものと見られる。

同社はこうした出荷を米商務省が2020年12月にSMICを事実上の禁輸リストに追加した後に始めたという。但し、これが現時点で違反に当たるかどうかは確認できず、立件に至るかどうかも不明であるという。

AMATは同日、マサチューセッツ州の連邦検事局から特定の中国顧客向けの出荷について情報を求める召喚状を受け取っていたことを2022年10月に開示していると説明し、「当社は米政府に協力中で、輸出管理や貿易規制を含めた国際法と法令を引き続き順守する決意だ」とコメントした。

結論が出るまでには時間を要するものの、もしも同件が違反に当たらないと判断されれば、今後米国の多くのメーカーが同様の方法で先端半導体・先端半導体製造装置の対中輸出に踏み切るものと予測される。今後の情報を注意深く観察する必要がある。