独の半導体大手、Infineon Technologiesは10月18日、韓国の現代自動車及び傘下の起亜自動車と、SiC(炭化ケイ素)及びSi(シリコン)パワー半導体の複数年供給契約を締結したと発表した。

具体的には、Infineonは2030年まで現代及び起亜にSiC及びSiパワーモジュールとチップを供給するための製造能力を構築・確保し、現代・起亜はこれを資金面で支援するとしている。

現代・起亜は2000年代初頭にInfineonのセンサー半導体の供給を受けたのを始まりに、2000年代中盤からはパワー半導体の供給を受けてきた。また、2007年から2020年まで、Infineonと共同で「電力性能研究所」を運営するなど、その関係は深い。
現在、現代自動車が販売している主力のBEV「ioniq5」はinfenion製のパワーモジュールが搭載されている。

現代自動車グループの取締役副社長兼グローバル戦略本部長(GSO)のキム・フンス氏は「Infineonは、パワー半導体市場で安定的な生産能力と差別化された技術力を持つ戦略的パートナーだ」とし、「両社の協力を通して中長期的な供給リスクを解消し、新技術を採用した競争力のある製品を駆使し、世界の電気自動車市場の主導権を確保していく」と大きな期待を寄せた。

また、Infineonのオートモーティブ事業部プレジデントのピーター・シーファー氏は締結式で、「信頼できるパートナーとして現代・起亜と長期的な協力関係を築くことを誇りに思う」とし、「現代・起亜のシステム仕様に合わせた高品質のパワー半導体を開発し、適時に供給できるよう、最善を尽くす」と述べた。

Infineonのパワー半導体は、エレクトロモビリティへの移行を可能にする製品として需要を高めており、フィラッハ(オーストリア)やドレスデン(ドイツ)のパワー半導体工場に続き、マレーシア・クリム工場に200mmのSiCウエハに対応するパワー半導体工場の建設を進めるなど、自動車産業向けのパワー半導体サプライヤーとして市場をリードする役割をさらに強固にしようとしており、今回のパートナーシップもその一貫であるものと見られる。