オランダの半導体露光装置最大手のASMLは10月18日、2023年第3四半期の決算結果を発表した。これによると、同四半期の受注額は26億ユーロとなり、市場予測の40億ユーロを大きく下回る結果となった。現在の不透明な経済状況において、顧客が設備投資に慎重になっていることが原因とみられている。

また、同四半期の売上高は前期比3.3%減の66億7,300万ユーロで目標値の中間点となり、粗利益率は51.9%で目標値を上回る結果となった。製品構成と一時的なコスト効果によるものと見られている。純利益は前四半期比2.7%増の18億9,300万ユーロで、市場予測と同程度となった。また、2023年第4四半期の売上高は67億~71億ユーロ、粗利益率は50%~51%と、第3四半期から微増と見込む。

社長兼CEOのPeter Winnink氏は、「半導体業界は現在、サイクルの底を打っており、当社の顧客は2023年末までに不況から好況への転換点が見えると予想している。しかし、顧客は半導体業界がどのように需要回復するかについては引き続き不透明としていることから、ASMLでも2024年については、現在の見通しに基づいて保守的な見方をしており、2023年と同程度の売上高を予想している」とし、大きな成長が見込めるのは高NA EUV露光装置の量産モデルが上市される予定の2025年であるとしている。

売上高を国・地域別に見ると、中国市場が全体の46%となり、前四半期の24%から大きく増加した。発表によれば、中国での売上のほとんどは2022年以前に受注したものであるとのことであり、輸出規制を満たす、非先端製品関連の装置であるとのことである。なお、米国政府は10月17日に先端半導体を巡る対中輸出規制を強化する政策を打ち出しているが、同社は影響をうけるのは中国の何カ所かの工場のみであり、影響は限定的であるとしている。