三菱ケミカルグループが先端半導体材料を生産する新工場の建設を検討していることが9月24日に判明した。福岡県内に立地を検討しており、2025年3月期の稼働を目指す。

九州では半導体受託製造世界最大手の台湾・TSMCの熊本進出を背景に材料・装置供給網の拡充機運が高まっている。同社もこの流れに乗り、積極的な投資をすることで半導体関連事業を強化する構えだ。

新工場では主にフッ化アルゴン用のフォトレジスト向け高分子素材を生産する見込みである。同社は不純物の少ない高品質な製品を安定生産する技術に強みを持ち、世界で数割程度のシェアを握るとみられる。従来は鶴見工場(横浜市)の1拠点のみで製造してきたが、新工場が完成すると、生産能力は2倍に増える見通しである。

同社では石油化学事業について、伝統的な石油化学や石炭等の事業から高機能製品群への再編を進めており、半導体素材を含む「スペシャリティマテリアルズ」部門の利益水準を、令和4年度の1,000億円強から7年度には2,000億円以上に高めることを目指す。今回の新工場建設はこの事業再編計画の要となるとみられる。