国土交通省は9月19日、7月1日時点の基準地価(都道府県地価調査)を公表した。全国の全用途平均は前年比1.0%上がり、2年連続で上昇した。特に半導体大手が進出を決めた地域で住宅・オフィス・物流施設などの需要が急伸し、上昇率上位10地点中9地点を占める結果となった。

上昇率32.4%と全国全用途で首位になったのが熊本県大津町大字室の商業地。台湾・TSMCの進出で関連企業の進出も相次ぎ、国道57号線の菊陽バイパスや大津バイパス沿線で賃貸アパートや倉庫、ホテルなど様々な用途での需要が増加したことが要因とみられる。また、工業地でも大津町大字室が同用途全国1位となる31.1%の上昇を見せた。熊本県によれば、TSMCの工場の操業開始まで残り1年あまりとなるなか、関連企業による新たな事業所の設置や、すでにある工場の設備拡大などで需要が高まる一方、土地の供給が限られていることで、価格が上昇しているとのことである。

一方、住宅地の上昇率全国1位は北海道千歳市栄町で前年比30.7%上昇した。こちらは次世代半導体メーカー「ラピダス」が同市内で工場の建設を開始したことにより、関係者による住宅需要が高まっていることが要因である。また、千歳市は商業地の上昇率でも同用途全国2~4位に入った。住宅需要が高まったことに比例して上昇した形だ。

工場建設地周辺では今後も更なる地価高騰が見込まれるが、まだどちらの地域も工場自体は稼働しておらず、期待感から地価が上昇しており、「半導体バブル」の様相を呈しつつある。今後、実際に工場が稼働してからどのような経済効果が現れるのかが注目される。