8月23日、韓国の半導体材料メーカーであるSTI(supreme Thermal Instrument)が釜山市にSiCウエハを生産する新工場を建設することが明らかになった。

同社は8月22日、釜山市とパワー半導体素材生産施設建設のための投資了解覚書を締結した。同社はこれにより、総額3000億ウォンを投資し、2026年までに釜山市機張郡東南圏放射線医科学産業団地内の用地約13万2000平方メートルにウエハ等パワー半導体素材生産施設を建設する。

同社は1989年に創立した半導体材料専業メーカーで、年間の売上高は684億ウォン。2020年2月には韓国セラミック技術院と共同で、それまで日本メーカーが独占してきた合成石英ガラスを国産化することに成功した実績を持つ。また、新工場建設に先駆け、SiC半導体ウエハインゴットの基礎素材に使用される、純度99.9998%のSiCインゴットパウダーを国産化するとともに、量産用6インチSiCインゴット成長炉の開発にも成功している。

同社はまず、2024年下半期までに約1万6,500平方メートルの用地にSiCインゴット及びSiCベアウエハを量産する1段階工場の建設を完了させるとともに、年間3万枚の6インチSiCウエハを生産するインゴットを成長させ、ベアウエハの量産までを可能にする予定である。また、2025年から約11万5700平方メートルの用地を確保し、生産ラインを増設させることで8インチSiCウエハの量産を本格化させる計画である。

韓国では2025年には電気自動車生産量が燃料自動車を超えると予測されている一方、SiC素材を基盤技術で生産するメーカーは韓国国内ではまだ存在しないため、SiC素材及びウエハの供給が不足すると予測されている。同社の工場完成によりSiC素材の国産化が実現されることで、韓国のパワー半導体競争力も強化されるだろうと見込まれている。