半導体受託生産世界最大手の台湾・TSMCは8月8日、独 Robert Bosch、独 Infineon Technologies、蘭 NXP Semiconductorsと合弁会社を設立し、ドイツのドレスデンに半導体の新工場を建設すると発表した。同社の欧州初の製造工場となり、米国、中国、日本に次ぐ4カ所目の海外工場となる。2024年の後半に建設を開始し、2027年末までの稼働を目指す。

合弁会社のEuropean Semiconductor Manufacturing Company(ESMC)は、TSMCが70%を、Bosch、Infinion、NXPがそれぞれ10%を出資する。投資総額は100億ユーロを超える見通しで、EUやドイツ政府からの支援も見込んでいる。ドイツの一部メディアは、投資額のおよそ半分にあたる50億ユーロをドイツ政府が支援する見込みであると報じている。

建設予定の新工場はTSMCによって運営され、主に自動車向けや産業部門に用いられる300nmウエハが製造される予定である。TSMCの28/22nmのプレーナーCMOS及び、16/12nmのFinFETプロセス技術が導入され、月当たり40,000枚のウエハが生産可能となる見込みである。高度なFinFETトランジスタ技術により、欧州の半導体生産エコシステムを一層強化し、2,000人の高度技術者の直接雇用を創出するとしている。

TSMCのCEOであるC.C.Wei氏は、欧州が自動車や産業分野など半導体の技術革新にとって非常に有望な場所であるとし、「優秀な人材とともに、当社の先進的なシリコン技術で今後の技術革新を実現できることを期待している」と述べた。

地政学的リスクの懸念が高まる中で、各国では経済安全保障上重要な半導体のサプライチェーンが寸断される事態を警戒し、同社の工場を誘致し半導体の自国生産を目指す流れが加速しており、今回の新工場建設も同様の流れによるものとみられる。