半導体搬送システム事業及びウエハ洗浄装置事業を手掛けるPHTは7月1日、金型加工やセラミックの加工・製造・販売を行う米ADVANCED SPECIAL TOOLS(以下AST)の株式を100%取得することを発表した。これによりPHTは、北米半導体市場へ進出することになる。

PHTはウエハ自動剥離洗浄装置で世界トップクラスのシェアを誇るのに加え、日本国内及び中国・米国のグループ会社にて半導体製造装置用の搬送ロボット事業を推進し、グローバルなビジネス展開をしている。同社は、半導体搬送関連製品とサービスの需要増加に対応するため、米に生産拠点を置くことを決定したが、更なる成長と地政学リスク分散の観点から、生産拠点の「現地生産・現地販売」にこだわる姿勢を見せていた。そのため、現地の開発力を活用し、最先端の技術力を確保することが課題となっていた。

同社が今回買収するASTは車載部品メーカー、半導体製造装置メーカー、医療機器メーカー、クリーンエネルギーメーカー向けに金型部品、セラミック部品の開発・加工・販売を行っており、機械設計、金型加工、金属加工、接合・組立の既有技術に対して、顧客から高い評価を受けている。特に精密金型部品において同社は革新的な技術開発力を備え、車載部品の微細熱交チューブの金型は世界で初めて量産化に成功した実績を持つ。

PHTは今回の買収により、米で半導体製造装置向けの最先端微細加工事業の展開を図ると共に、同社のグローバルな販売ネットワークを構築し、生産拠点と連携していく。また、今後拡大が見込まれる半導体製造装置等の部品加工の需要を積極的に取り込み、半導体装置関連事業産業の成長と企業価値の向上を目指すとしている。

加えて今後は、ASTとの連携により、国内の金属加工事業においても精密金型部品の製造装置を設計開発から対応可能になるため、従来の機能部品よりさらに枠を広げた提案が可能になるとしている。