ネット金融大手のSBIホールディングスは7月5日、台湾の半導体受託生産大手のPSMC(Powerchip Semiconductor Manufacturing Corp)と共同で、日本国内に半導体製造工場を建設するための準備会社を設立することで合意したと発表した。今後は同準備会社にて工場の立地場所や事業計画、資金調達に関する調整を行う。なお、工場の建設開始時期や稼働時期については現状未定で、具体化した段階で公表するとしている。

PSMCは台湾3位、世界6位の半導体ファウンドリ大手で、メモリとロジックの両方を生産するノウハウを持つ。また、車載向けパワー半導体にも強みを持っており、車載向け需要の90%以上を占めると言われる28nm以上の半導体を高品質で安価・大量に生産するビジネスモデルを有する。

新工場では、短期的には線幅45~55nm のロジック半導体を手掛け、自動車用、産業機器用に注力するが、中長期的には3次元化や微細化を進めていく計画である。また、日本国内に先端半導体の研究所設立も検討する。

SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、「日本を半導体の世界的な供給網の起点にしていきたい」と述べており、そのために国内のみではなく、グローバルに資金を調達する計画である。また、PSMCの黄崇仁会長は、「日本に進出する大きな機会だと思っている。成功のためには技術力だけでなく資金調達も重要であり、SBIにはその点を期待したい」と述べた。

これで日本には、台湾の大手ファウンドリ3社の工場(TSMC熊本、UMC 三重工場、PSMC)が揃うことになった。

なお、日本政府は2021年6月の「半導体・デジタル産業戦略」策定以降、同じく台湾のTSMCの工場誘致やMicron Technology、キオクシアなど半導体メーカーの工場設立を支援しており、今回の新工場計画についても資金援助が期待される。