住友重機械工業の子会社で、半導体製造工程で使われる「イオン注入装置」を生産する住友重機械イオンテクノロジー(SMIT)が、唯一の製造拠点である愛媛事業所(愛媛県西条市)に建設した新工場を稼働させたことにより、既存の設備と合わせて生産能力が2倍に増加した。

2022年10月に完工し、2022年12月より稼働を開始したこの新工場は建設面積約2万2,000m²、床面積延べ3万8,000mで、顧客の急速な生産増にも対応できる「ハイキャパシティー」と入荷から出荷まで無駄のない動線「ワンストローク」、自動化で生産が動き続ける「キープムービング」をコンセプトとした設備の整備が施された。

こうしたコンセプトのもと、新工場には自動倉庫システムなど、最新鋭の設備を導入し、部品の入荷から装置の組立、出荷まで一筆書きで工程が進む「疑似ライン」が導入され、効率化が図られた。

同社は新工場建設ついて、同社の「イオン注入装置」の主要マーケットであるイメージセンサ―がスマートフォン、自動運転、電気自動車などの需要を追い風に当面高い成長率が見込まれる事の背景に、今後の更なる事業拡大と生産・物流の効率化を図るためのものであるとしている。

新工場の稼働により、同社の2021年からの中期経営計画の最終年度である2023年度の売上高は、目標とする500億円を達成する見通しである。また、現在策定中の次期中計では、2026年に売上高600億円を目標とする旨が検討されている。なお、新工場では、2026年のフル稼働時に年200台の生産を目指すとしており、これが実現すると、装置本体の売上高は700億~800億円となり、付帯事業を合わせると1,000億円規模の売上高となる見通しである。

現在は市場規模が大きいメモリー市場向けの新装置を開発中であり、今後は更なる成長を目指し、海外の大手メモリーメーカーなどの新規顧客獲得を狙っていく。