米半導体大手のIntelは、2023年6月21日に開催された「Intel Foundry Investor Webinar」において、受託生産(ファウンドリ)部門を別会計とし、他部門と事実上切り離す組織改編を発表した。同社が6月16日に発表したIDM2.0戦略の重要なステップの一つとなる。

新しい「社内ファウンドリモデル」では、同社内の各部門は社外顧客企業と同じ立場で同部門へ製造委託をすることになる。これにより同部門は、競合ファウンドリと同様に性能と価格を通じてファウンドリ市場で量を競うことになる。また、同社の各部門では柔軟に社外ファウンドリも選択できるようになる一方で、Intelのファウンドリ部門を選択する場合でも製造委託費用を支払うこととなる。

また、同社コーポレートVP兼経営企画グループゼネラルマネージャーのジェイソン・グリーブ氏は、同モデルの実現により、コスト削減も期待できるとしている。高コストで効率を低下させる優先ウェハの料金を各部門に請求することでコスト削減と高効率化が期待でき、年間5億~10億ドルの節約が期待できる。また、テスト時間によって市場価格が請求されるため、各部門はプレシリコン設計を選択することでテスト時間を短縮し、結果として年間約5億ドルの節約が期待される。さらに、ウェハのステップ数の削減により、年間5億~10億ドルが削減可能であるとした。

デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)によれば、同モデルの実現により、同社の受託生産部門は2024年には売上高が200億ドルを超え、韓Samsungを抜いて、TSMC(台湾)に次いで世界第2位の半導体受託生産企業となる見通しである。ただし、サミット・インサイツ・グループのアナリスト、キンガイ・チャン氏によれば、世界最大手であるTSMCは来年度、850億ドルに近い売上高が見込まれているため、インテルは大きく水を開けられることになる。また、受託生産事業の具体的な拡大時期や外部顧客名などを明らかにしていないため、今後の実行には不確定要素が多い点も問題視されているため、今後の更なる発表が注目される。