車載用マイコン大手のルネサスエレクトロニクスは、2022年6月に買収した組み込みAIソリューションプロバイダーの米 Reality Analytics社(Reality AI)社の組み込み用AIツールであるReality AI Toolsが、ルネサスの32ビット汎用マイコンであるRAファミリとRXファミリ、および62ビットMPU(マイクロプロセッサユニット)であるRZファミリをサポートしたことを発表した。

Reality AI Toolsは、データ収集(学習)からマイコンへの実装まで全体をサポートするツールで、センサの生データから自動的に最適化されたAIモデルを生成可能で、最適なセンサやセンサの組み合わせ、センサを配置する場所などを判断するための分析機能も備えている。さらに、センサ仕様をどこまで妥協できるかを検討するための機能や、時間/周波数ドメインの観点からモデルがどこを重視して判断しているかを可視化する機能も搭載されているという。さらに、ルネサスのマイコンとMPUの仕様を簡単に参照できるよう、新たに用意したマイコン/MPUセレクションガイドにより、最適なデバイスを選択可能。

またルネサスは、
①モータ制御の電気的情報を利用することにより、センサを追加することなく、予知保全、異常検知、および制御へのフィードバックを実現することが可能になるソフトウェア
②HVACシステム(車両の温度、湿度、および空気の質を制御するシステム)向けのソリューション
③ハードウェアとソフトウェアの独自の組み合わせにより、新たなレベルで乗員を保護する安全警報システム(Safety Warning System:SWS) ソリューション
といった、Reality AI Toolsに対応するユースケースごとのアドオンツールも提供している。

ルネサスは車載、産業、IoT向けに400種を超えるウィニング・コンビネーション(組み込みプロセッサ、電源IC、アナログIC、およびコネクティビティデバイスからなるデバイスポートフォリオで構成されるトータルソリューション)にAI技術を活用している。
例を挙げると、「モータ制御用振動検出ソリューション」や「高効率スマートヒートポンプ」ソリューションは、Reality AI技術によってモータの異常を早期に検知して予防保守を行うインテリジェンスを実現し、修理費用を大幅に節約可能となる。