米半導体大手、テキサス・インスツルメンツ(TI)は6月13日、マレーシアに半導体の組み立て、および検査を手がける工場を増設すると発表した。首都クアラルンプールとマラッカ州の既存工場の隣接地に増設する見込みで、ともに2025年の稼働を予定している。

TIとマレーシア投資貿易産業省傘下のマレーシア投資開発庁(MIDA)の共同声明によると、TIは同社の現地法人がクアラルンプール・アンパン地区の自由貿易区で操業する工場に隣接している建物(敷地面積約7.3ヘクタール)を取得し、最大96億リンギット(約2,900億円)を投じ、この建物を組み立て・検査用の工場に改装する計画である。改装工事は今年後半に着手予定であり、これにより誕生する新工場は既存工場に連結させる予定であり、床面積約9万2,000m²以上のクリーンルームを設置する。この新工場が稼働することで、新たに約1,300人の雇用が見込まれる。

また、同社はマレーシア マラッカ州にも既存工場の隣に組み立て・検査用の工場を建設中である。この新工場は6階建てで、床面積約3万7,000平方メートル以上のクリーンルームを設置する。投資額は最大50億リンギット(約1,500億円)を見込んでおり、新工場が稼働すると、新たに約500人の雇用が創出される見込みである。

これらの新工場では、自動化により日々大量のチップを組み立て・検査することが可能になり、生産されたチップは電気自動車をはじめとした様々な電子機器に組み込まれることになる。また、新工場にはチップ1枚あたりに使われる水、燃料の消費を抑え、廃棄物を減らすことのできる装置が導入される予定である。

同社の組み立て・検査製造部門のヨガンナイドゥ・シヴァンカラム部長は、今回の投資は、半導体需要の増加を支えつつ、より安定した供給を提供するため、内製能力を拡大しようという同社の長期戦略の一部であると述べる。同社は2030年までに内製率90%以上に引き上げる計画であり、今回の新工場建設はその計画に大きく寄与するものと見込まれている。