韓国のLG電子とカナダのテンストレント社は5月31日、スマートTVや自動車製品、データセンター構築に用いるAI及びチップレット基板半導体の開発を共同で進めていく旨を発表した。

テンストレントは半導体設計の第一人者であるジム・ケラー氏が最高経営責任者(CEO)を務めており、2016年に設立されたAI半導体スタートアップ企業で、既存半導体メーカーが使用するインテルx86やARMの半導体設計技術ではないオープンソースの ‘RISC-V’を基板にした半導体を開発している。同社は売上高などの情報を公開してはいないが、その企業価値は10億ドル(約1,390億円)との評価を受けている。また、同社はこれまで顧客情報についても一度も明かしていなかったが、今回の発表でその一つがLGであることを初めて明かしたことになる。

今回の契約でLG電子はテンストレントのAI半導体技術をスマートTVに追加するものとみられる。また、自動車関連機器などへもAI半導体技術を導入する計画である。一方でテンストレントは既存のデータセンターのポートフォリオにLG電子のビデオコーデック技術を追加するとみられる。

テンストレントのジム・ケラーCEOは「LG電子は業界の巨人のうちの一つであり、今回の協力で未来半導体ソリューションのための技術ポートフォリオを強化して製品を差別化できる」としている。また、LG電子のキム・ビョンフンCTO(副社長)は「テンストレントの市場先導的な人工知能技術はLG電子の未来製品のシステムオンチップ(SoC)競争力を強化するのに役立つ」と述べている。両社が協力し半導体の設計能力を向上させることで、様々な家電製品や自動車機器にAI半導体が導入されることが期待される。