ファウンドリ最大手の台湾Taiwan Semicondutor Manufacturing(TSMC)社は2022年3月13日、2022年12月期第3四半期(2022年7月〜9月)業績を発表した。同期売上高は6,131億4,000万台湾ドル(NTドル)で、前年度同期比14.9%増、前期比47.9%増となった。地域別構成比率は北米72%、アジア太平洋10%、中国8%、欧州・中東5%、日本5%。前四半期からは北米地域が大きく売上を拡大した。アプリケーション別比率はスマートフォン41%、高性能コンピューティング(HPC)39%、IoT10%、自動車5%、デジタル・コンシューマ2%、その他3%。プロセス別比率は、5nmが28%、7nmが26%、16nmが12%、28nmが10%、40/45nmが7%、65nmが5%、90nmが2%、0.11/0.13μmが3%、0.15/0.18μmが6%、0.25μmが1%。5nmが前期の21%から7%ポイント拡大、最大比率となった。一方、主に一般のスマートフォンやパソコンに搭載する1世代前の7nmは需要が弱まった。
ウェーハ出荷量(300mmウェーハ換算)は397万4,000枚。前年度同期比9.0%、前期比4.9%増に拡大した。
同期の営業利益は3,103億2,000万NTドルで、前年度同期比81.5%増、前期比18.4%増となった。純利益は2,808億7,000万NTドルで、前年度同期比79.7%増、前期比18.5%増となった。
同社は米Apple社が2022年9月から順次発売した「iPhone14」シリーズに先端半導体を独占供給している。年初から進めた受託生産の値上げや、為替の米ドル高・台湾ドル安も、売上高や利益の押し上げ要因となった。
その一方で同社の魏哲家CEOは「スマートフォンやパソコンの需要が落ち込み、当社顧客の在庫調整が続いている。調整は23年前半まで続くだろう」と述べ、警戒感を示している」としている。7月時点では業界全体で「在庫調整期に入った」としていたが、TSMCにも影響が及んでいることを明らかにした。しかしながら、メモリメーカーと比較すると、同社の業績への影響は軽微であると言える。
一方で通期の設備投資額は87億5,000万米ドル、通期設備投資額は期初予想の400億〜440億米ドルから360億米ドル(約5兆3000億円)に下方修正した。同社は2022年7月時点で「下限(400億米ドル)に近くなる」と言及していたが、今回そこからに1割削減することになった。台南・高雄市で予定する7nm対応のFab18のPhase5、Phase6は、立ち上げスケジュールを遅らせるという。
なお、2022年10月13日、中国の江蘇省南京市に抱える工場への新たな製造装置の搬入について、米政府から1年間の猶予を得たと明らかにした。これにより、当面は米企業製の装置の導入が可能となっている。