TSMCの半導体工場を国内へ誘致する動きが固まったと日本経済新聞が報じた。ソニーグループと共同で建設していくという。投資総額は8,000億円規模で、日本政府も最大で半分を補助すると見られ、TSMCも日本政府の補助金額やこれまでの関係性から建設を決定したと見られる。

ソニーでは、ロジックチップを積層してAI処理を可能とした「IMX500」「IMX501」をすでに発売しており、今後はより高性能なロジックチップを搭載したイメージセンサーで、より高機能化していきたい思惑がある。

10月から新しく就任した岸田文雄首相も11日夜の経済ニュース番組で、国内で半導体の生産拠点を確保する企業への支援を年内につくる経済対策に盛り込むと述べた。TSMCとソニーが熊本県に新工場を建設する計画を「経済安全保障にとって大変重要だ」と評価し、総選挙後に策定する経済対策には、国内で半導体の供給網を確保するための支援策を盛り込む考えも示した。

一方で、TSMCが国内に誘致されたとはいえ、後工程プロセスは中国、東南アジアといった国に工場が集中しているなど、サプライチェーンの問題も完全に解決したわけではないという声や、TSMCはファウンドリ企業であることから、今後先端プロセスを国内で製造できるようになったとしても、先端プロセスから離れていた日本(企業)が良いチップを製造することが出来るかといった課題も残っている。