経済産業省は、先端半導体に求められる高性能コンピューティング(HPC)やエッジコンピューティング向けの3次元実装技術、及びそれらの実装技術を支えるパッケージ基板や接合材料などの共通的な基盤技術の開発を実施し、国内に無い先端性を持つロジック半導体の後工程技術を確立するために「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の先端半導体製造技術の開発(助成)に関する実施者の公募を行い、5月31日に5件の採択を行った。

5件の採択テーマは以下の通り

(1)先端半導体製造(後工程)プロセス技術の開発

概要:基板上実装技術(On-substrate technologies)を中心として、新しい加工材料、基板材料、接合プロセス、新規の接合・計測機器技術等を含む3DICパッケージング技術について開発し、TSMCジャパン3DIC開発センターが産総研のクリーンルームに構築するプロセスラインの評価・検証を通じ信頼性の高い組立技術として統合する。

実施者:TSMCジャパン3DIC研究開発センター株式会社
〈パートナー企業〉
【材料メーカー】旭化成、イビデン、JSR、昭和電工マテリアルズ、信越化学工業、新光電気工業、住友化学、積水化学工業、東京応化工業、長瀬産業、日東電工、日本電気硝子、富士フイルム、三井化学
【装置メーカー】キーエンス、芝浦メカトロニクス、島津製作所、昭和電工、ディスコ、東レエンジニアリング、日東電工、日立ハイテク
【大学、研究機関】産業技術総合研究所、先端システム技術開発組合(RssS)、東京大学

(2)ダイレクト接合3D積層開発技術(WoWおよびCoW向け装置・プロセス開発)

概要:Cu-Cuの低温ハイブリッド接合によるWoW(Wafer on Wafer)接合技術及び、CoW(Chip on Wafer)接合技術の構築とその実装化に取り組む。

実施者:先端システム技術研究組合(RaaS)
【共同実施先、組合員企業】産業技術総合研究所、SCREENホールディングス、ダイキン工業、富士フイルム、パナソニックスマートファクトリーソリューションズ、東京大学

(3)ポスト5Gエッジコンピューティング向け半導体の3D積層要素技術研究開発

概要:積層モジュールの基本特性及び信頼性取得が可能となるピッチサイズ目標を年度ごとに設定し、ロバストな半導体製造プロセスの要素技術を確立する。

実施者:ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社

(4)最先端パッケージ評価プラットフォーム創成

概要:基板、装置、材料メーカーによるコンソーシアムを創成、評価プラットフォームを設置し次世代半導体パッケージの評価技術、基板、装置及び材料を開発する。

実施者:昭和電工マテリアルズ株式会社
【共同実施先、協力企業】味の素ファインテクノ、上村工業、荏原製作所、新川、新光電気工業、大日本印刷、ディスコ、東京応化工業、TOWA、ナミックス、パナソニックスマートファクトリーソリューションズ、ヤマハロボティクスホールディングス

(5)次世代情報通信向け先端パッケージの材料開発

概要:3次元実装密度向上において重要となる、Wafer Level パッケージ向け封止材、アンテナ向け封止材、再配線用感光材のファインピッチ対応技術を開発する。

実施者:住友ベークライト株式会社

2021年3月には、同事業の前工程に係る製造技術(微細化(More Moore)技術)の開発の実施先として、露光装置大手のキヤノン、国内半導体製造装置最大手の東京エレクトロン、洗浄装置大手のSCREENセミコンダクタソリューションズ、産業技術総合研究所が選定されている。 → 経済産業省、先端半導体製造技術開発企業にキヤノン、TEL、SCREEN、産総研を指定