日本自動車工業会は、ルネサス那珂工場の火災によって、年初から慢性的に続いている半導体不足に更なる拍車がかかることを警戒して、TSMCに代替生産を要請したことを日刊工業新聞が報じている。

この要請に対し、TSMCは基本的に代替生産を引き受ける方向で検討を進めているという。増産幅や供給開始時期は今後の交渉で詰める。

ルネサスの火災によるTSMCへの代替生産要請は、経済産業省の梶山経済産業大臣が「経済産業省においては、半導体の製造装置の調達が迅速にできるよう、複数のメーカーとやり取りをしている。また、台湾のメーカーに半導体の代替生産の協力も要請している」ことを30日の会見で明らかにしている。

ルネサス那珂工場の火災は、主力の300mmウエハによる生産を行うN3棟の一部を消失し、23台の製造装置が被害を受けた。ルネサスでは、N3棟のクリーンルームの復旧を4月中旬に完了し、火災発生から1か月以内に生産再開することを目指す。代表的な生産リードタイムの製品の事例では、4月末までに必要となる製造装置の調達を完了した場合、火災発生から約60日後にはN3棟の1階に残存した仕掛品からお客様への製品出荷が始まり、約90日後にはN3棟の2階に残存した仕掛品の製品出荷を開始し、火災から100日前後のタイミングで、火災前の製品出荷量の100%に達する見込みと発表しており、21年 7〜8月頃まで生産減少の影響が続くと見られる。