島津製作所は2025年11月28日、超純水のモニタリング用オンラインTOC(全有機体炭素)計「TOC-1000e S」を発売すると発表した。独自の測定アルゴリズムによって半導体製造工程に必要とされるTOC濃度1μg/L以下の安定した測定が可能で、製造工程における歩留まりの改善に大きく貢献することが期待されている。

TOC計は水などに含まれる有機物を有機体炭素量として測定する分析装置。半導体製造における超純水の管理や環境調査、産業排水の監視などで活躍してきた。

半導体製造には、水から不純物を極限まで取り除いた「超純水」が不可欠である。エッチングや研磨工程でのシリコンウエーハの洗浄時、水に不純物が微量でも含まれると、回路パターンの欠陥や歩留まり低下の原因となる。半導体の微細化の進展に伴い、洗浄水の純度要件が厳格化しており、尿素など検出が難しい難分解性有機物の存在を可視化できる装置が求められていた。

「TOC-1000e S」は同社独自のエキシマランプ技術によるエネルギーの高い短波長光を「Active-Path」構造で試料に照射することで、尿素などの難分解性有機物を高感度に検出できる。また、エキシマランプと導電率計を直列に連結したシンプルな構造で、装置に取り込む試料水の一部を連続的に送り込んで測定する仕組みであり、超純水への予期せぬ不純物の混入を即座に捕捉し、不良品の発生を防ぐことができる。さらに、本体重量は約3kgと世界トップクラスの小型・軽量設計で、卓上・壁面・パイプなどに簡単に設置できるほか、タッチパネル操作や1年間メンテナンスフリー、工具不要の部品交換など、前シリーズから好評の使いやすさはそのまま維持されている。

同社によれば、希望販売価格は605万円(税込)であり、発売後1年間に国内外で300台の販売を目標としている。

出典:島津製作所 プレスリリース