GNC letter
GNCレター
アイクリスタル、グローバルウェハーズ・ジャパン、名古屋大学 未来材料・システム研究所、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの研究グループは9月5日、CMOSイメージセンサーの製造に関わる主要な30工程を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」という技術を用い、プロセス全体を最適化するプラットフォームを確立したと発表した。実ラインでの試作品は画像の乱れを生むノイズの指標が従来品と比べて約7割改善したという。
スマートフォンや車載カメラに搭載されるCMOSイメージセンサーは、暗所撮影や高速撮影時の画質を左右するノイズ特性の改善が喫緊の課題になっている。ノイズの低減には、ウエハ製造からデバイス製造までの数十工程で変動するウエハ内部の不純物濃度分布や欠陥密度分布をデバイス構造に応じて適切に制御する必要がある。ところが、従来は工程毎に最適化をするため、複数工程間の相互の影響を考慮できないという課題があった。
今回開発した技術は、まず、ウエーハ製造で発生する欠陥や不純物がデバイス工程を経て最終特性にどのように伝搬・影響するかをシミュレーションにより予測可能にし、材料起因の変動要因とデバイス特性の関係を結びつける基盤を確立した。
続いて、欠陥シミュレータとAI技術を組み合わせ、プロセス条件からウエハ内部の欠陥分布を高速に予測するデジタルツインを工程毎に作製し、それらを直列に組み合わせることで、工程や企業の枠を超えた一気通貫の全体最適化を実現した。
また、デジタルツインを企業間でセキュアに統合することで、上流から下流にかけて欠陥や不純物の挙動を連続的に予測する機能や、所望のウエーハを得るためのプロセス条件を全体最適化する機能を実現した。
これらを統合したプラットフォームから導出した最適プロセス条件に基づき、グローバルウェハーズ・ジャパンとソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの実生産ラインで実証試作を行った結果、従来比約70%のノイズ削減に成功した。従来技術では年間数%の性能改善に留まっていたため、一気に改善が進んだといえる。
今回開発したメタファクトリーの基盤技術は半導体分野に留まらず、原料・デバイス、モジュールに至るまでの広範な製造プロセスに対して展開できるとしている。
出典:ソニー ニュースリリース
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