半導体の設計開発を手掛けるスタートアップ、EdgeCortixは5月28日、人工知能(AI)向けに次世代省エネルギー型エッジAIチップレットを開発すると発表した。経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこれに対し、最大30億円を支援する。

同社は2019年に、自社で製造設備を持たない「ファブレス」として設立された。エッジにおける生成AIワークロードのエネルギー効率に優れたAI処理に特化する。同社の製品は通信、防衛、航空宇宙、スマートシティ、インダストリー4.0、自律システム、ロボティックスなどの分野での活用が期待されている。

新たなチップレット技術「NovaEdge」を開発する。同技術は同社が独自開発したDynamic Neural Accelerator(DNA) アーキテクチャを基盤として構築されている。米NVIDIAのGPUベースの既存エッジソリューションに比べて5倍以上の電力効率を実現するように設計され、1ワットの電力で1秒に20兆回の演算が可能となる。クラウドにつながずに端末上でAI処理を行うエッジAI向けに特化し、ドローンなどの防衛分野や、宇宙空間、海底などの電力消費や通信が制限される環境、ロボットなどでの採用を想定する。2027年初頭の市場投入を予定している。

同社の創業者兼CEOであるサキャシンガ・ダスグプタは「NovaEdgeは、堅牢で適応性が高く、エッジ環境において、リアルタイムで生成AI機能を実行可能にする飛躍的な進歩をもたらす研究開発となる」としたうえで、このプロジェクトについて、「日本国内におけるファブレス半導体の革新を促進するとともに、ロボティクス、自律システム、ヘルスケア、スマート製造、宇宙、セキュリティなどの重要な分野で実世界にインパクトを与えるという当社の使命をさらに高める」ものになると述べた。

なお、「Novaedge」は台TSMCの先端プロセス技術を用いて開発され、将来的には、TSMCの熊本県内の向上へ生産を移管し、国産化を目指していく。

出典:Edge Cortix プレスリリース