米半導体大手、STMicroelectronicsは2025年5月21日、シンガポールのA*STARマイクロエレクトロニクス研究所(A*STAR IME)、アルバックと共同で運営するシンガポールにおける「Lab-in-Fab」について、協業範囲を拡張し、新たにA*STAR IMREとシンガポール国立大学とも協業すると発表した。

シンガポールにおける「Lab-in-Fab」は2020年にSTMicroelectronicsのアンモキョ工場内に設立された。シンガポールの研究開発の重点分野として位置付けられる圧電MEMSを専門的に扱い、圧電MEMS技術に特化した8インチウエーハの研究開発用ラインが整備されている。これまでに、物理蒸着(PVD)法を用いた鉛ジルコン酸チタン(PZT)薄膜の成長技術の開発にも成功している。

今回の協業拡張により、同ファブでは、環境に優しい鉛フリーの圧電材料の発展に貢献し、小型でコスト効率の高いセンサーやアクチュエーターの実現を促進する。また、高等教育機関(IHL)、スタートアップ企業、中小企業(SME)、多国籍企業(MNC)が同ファブの製造ラインを活用できるようにし、新しい圧電MEMS(piezoMEMS)デバイスの商業化をさらに加速化させる。

STMicroelectronicsのアナログ・パワー&ディスクリート、MEMS&センサーグループ中央R&D担当 グループ副社長兼ゼネラルマネージャーを務めるAnton Hofmeister氏は「私たちは、A*STAR IMEおよびULVACとの協力をさらに発展させることに大きな期待を寄せている。そして、A*STAR IMREおよびNUSをLab-in-Fab 2.0の新プロジェクトに迎え入れることを歓迎する」とし、「この取り組みは、圧電MEMS技術の革新を促進し、次世代デバイスの商業化を支援するものとなるだろう」と述べた。

また、A*STARの副最高経営責任者(イノベーション&エンタープライズ)を務めるYeo Yee Chia氏は、「この取り組みにより、環境に優しい鉛フリー材料を使用した次世代の省電力PiezoMEMSデバイスの商業化を加速し、シンガポールの世界的な半導体バリューチェーンにおける地位を強化することができる」と期待した。

出典:STMicroelectronics Newsroom