半導体大手、米AMDは5月13日、サウジアラビアのAI(人工知能)企業、HUMAINとAIインフラストラクチャー構築に向けた戦略的パートナーシップを結んだと発表した。これにより、両社は今後5年間で100億円を投資し、サウジアラビアから米国にまで広がるAIコンピューティングセンターのネットワークを構築し、最大500メガワットのAIインフラを展開する計画である。

HUMAINはサウジアラビアの政府系ファンドPIFによる支援を受け、皇太子ムハンマド・ビン・サルマンによって最近設立されたAI企業。次世代データセンター、超高性能インフラとクラウドプラットフォーム、最先端のAIモデル、深い業界知識と実践的な展開を融合した革新的なAIソリューションという4つの4つの主要分野にわたるフルスタックAI機能を提供するとしている。

両社が計画する次世代AIインフラは、企業、スタートアップ、および政府に対し、最適化された高度な計算能力へのアクセスを提供する、拡張性とオープン性を兼ね備えたものを目指すとしている。

今回のパートナーシップでAMDはAMD Instinct GPU、AMD EPYC プロセッサ、AMD Pensando DPU、AMD Ryzen AI プロセッサ、およびAMD ROCm ソフトウェアエコシステムを含むAIコンピューティングの包括的ポートフォリオにより、高性能計算の専門知識を提供する。一方、HUMAINは、ハイパースケールデータセンター、持続可能な電力システム、グローバルなファイバー接続を含むエンドツーエンドのデリバリーを監督する。

AMDの会長兼CEOを務めるLisa Su博士は、「AMDでは、AIの未来をあらゆる場所で実現するという大胆なビジョンを掲げている」としたうえで、HUMAINとのパートナーシップについて、「グローバルなAIインフラを前進させる重要な節目となる」と、その意義を強調した。

このパートナーシップの初期の展開については既に進行中で、2026年初頭までにはマルチ・エクサフロップ規模の処理能力を実現する見込みであるとしている。

なお、サウジアラビアは石油依存型経済からの脱却を目指す国家戦略「Saudi Vision 2030」を掲げており、その中核事業として、AI事業を置き、現在巨額の投資を進めている。今回のパートナーシップもその一環とみられる。