レゾナックは3月14日、走査型プローブ顕微鏡(SPM)に関する新たな計測指標を提供する特許技術について、島津製作所と2月14日付で非独占的実施権によるライセンス契約を締結したと発表した。この契約により、今後、島津製作所が販売する走査型プローブ顕微鏡のオプションソフトウェアとして同技術の搭載が検討される見込みである。

SPMはナノメートルオーダーで材料表面の微細な形状を調べることができる顕微鏡。カンチレバーという板バネの先端についた針(探針)を材料表面に近づけ、材料表面から受ける力を利用して表面の形状を顕微鏡像として出力する。SPMの測定方法をフォースカーブモード(SPMの探針を試料表面で垂直にスイープさせ、試料とカンチレバーとの距離を変えながら力を測定する手法)にすると、形状に加え、凝着力や弾性率も顕微鏡像として出力可能になるが、鮮明な画像が得られなかったり、データの解釈に注意を要したりするなどの課題があった。

同社はフォースカーブの測定時に、探針と材料表面の間に引力が働く距離に着目。この距離を「破断長」と定義し、大量のデータを効率よく解析できる技術を見出して、容易に破断長像として出力可能にした。破断長像では、従来技術では得られなかった鮮明な像が得られるとともに、観測される力の強弱だけでなく、「強く長いか・強く短いか」を解析できるようになる。

同技術は凝着力や弾性率とともに材料表面の特性を表す計測指標として活用できるうえ、種々の材料表面に適用でき、特に高分子や柔らかい材料表面の分析に有効である。同社は2022年に関連技術の特許を取得した。