東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー(TASMIT)は2月18日、光学式外観検査装置「INSPECTRA」シリーズの新モデルを発表した。先端パッケージ向けの大型ガラス基板の検査に対応する。2025年3月から本格的な販売を開始する。

次世代半導体の製造技術として、「2.5次元パッケージ」の採用が増えている。同技術はパッケージ基板上にインターポーザーという中継基板を配置し、その上に半導体チップを水平に並べてパッケージングする手法である。これまでは12インチシリコン(Si)ウエハを使用したSiインターポーザーが使用されてきたが、円形であるため、1つのウエハ当たりの取り数が少なくなり、需要に対する供給量が課題となっていた。そこで、一般的な樹脂基板ではなくガラス基板を使用することでSiインターポーザーを省く技術が登場した。

ガラス基板は熱膨張係数がSiに近いため、Siインターポーザーを使用しなくとも熱膨張の違いによる接続不良などが起こりにくい。また、正方形で大きな基板サイズで製造可能で、平たん性が高いという特徴がある。一方で、ガラス素材であるため微細なひび割れ(クラック)が生じるケースが少なくなく、ひび割れのある基板を使用した半導体は動作が不安定になるため、工程の中で取り除く必要がある。従来から光学的技術を使用した表面検査が行われてきたが、検査装置の構造上、表面の欠陥の検出に留まり、裏面や内部の欠陥の検出はできなかった。

「INSPECTRA」の新モデルでは、新たに開発した微分干渉(DIC)プリズムを導入。DICプリズムを通して光を2つに分け、ガラス基板から反射した2つの光の光路差によって発生する干渉を利用してコントラストを強調することにより、可視光で判別できない数十nmの高低差も認識できるうえ、基板の内部や裏面も検査可能となった。また、同シリーズの高い検査速度も保持しており、全数調査が可能となるため、不良品の流出も防ぐことができる。

同社は同装置をパネルレベルパッケージ(PLP)など先端半導体を製造するメーカーに販売し、2025年度に10億円、2030年度に20億円の受注高を目指すとしている。