ルネサスエレクトロニクスは2月19日、Armコア搭載の32ビットマイコン「RAファミリ」の中の「RA4」シリーズの新製品として、超低消費電力の「RA4L1」を発売し、既に量産を開始したと発表した。

「RAファミリ」は最大動作周波数が異なる5シリーズから成り、各シリーズで様々な用途に合わせた複数の製品グループが用意されている。「RA4」シリーズはその中でも最大動作周波数が100MHzの中位のマイコンシリーズであり、新製品の「RA4L1」は超低消費電力を特長としている。

新製品のCPUにはArmのセキュリティ技術「TrustZone」をサポートするCortex-M33コアを搭載。独自の低消費電力技術により、動作周波数80MHzのアクティブモードで168µA/MHz、スタンバイモードではすべてのSRAMを保持した状態で1.70µAを達成したという。また、HMI(Human Machine Interface)用に静電容量式タッチキー機能と簡易表示用にセグメントLCDコントローラを搭載しており、低消費電力ニーズの高いスマートメーターやスマートロック、IoTセンサーなど、様々な用途に適用が可能である。パッケージには3.64 x 4.28mmのWLCSP(Wafer-Level Chip-Scale Package)を採用した超小型パッケージも用意されており、ポータブルプリンタやデジタルカメラ、ラベルプリンタなどにも最適となっている。なお、ユニークID、TRNG対応のRSIPセキュリティエンジン、AES、ECC、Hashなど堅牢なセキュリティ機能も備えている。

「RA4L1」のアプリケーションプログラム開発には、同社の「Flexible Software Package(FSP)」が利用可能。FSPは様々なリアルタイムOS(RTOS)や周辺ドライバ、ネットワークなどの基本ソフトウェアに加え、複雑なAIやモータ制御、クラウドソリューションを構築するためのリファレンスソフトウェアもそろっているため、迅速なアプリケーション開発が可能となる。FSPを使用すると、「RA6」や「RA2」のデバイスとの間で既存のソフトウェアを容易に移行できる。

超低消費電力を特長とする「RAファミリ」製品は2020年12月に発売開始し、売上も好調の「RA2L1」に次いで2つ目である。同社のエンベデッドプロセッシング事業部長のDaryl Khoo氏は「(人気製品である)RA2L1と同じ低消費電力技術を採用したRA4L1グループは、超低消費電力と優れたCPUパフォーマンス、セグメントLCDのサポート、高度なセキュリティを求めるお客様の声に応えて誕生した」と述べた。