米国政府は2024年2月19日、半導体受託製造大手の米Global Foundries (GF)に対し、15億ドルの補助金を交付すると発表した。バイデン政権が米中対立を背景に国内の半導体製造強化策として制定した「CHIPS法」に基づいた補助金で、今回が3例目となる。 

同社はニューヨーク州マルタに300mmウエハ対応の新工場の建設、同地域にある既存工場の拡張、バーモント州バーリントンにある工場の改修を計画しており、これらの資金として補助金が投入される見込み。 

 ニューヨーク州の2工場については、自動車や防衛産業、航空宇宙などの需要に対応する。同社は国防総省が認定した施設を複数保有し、衛星通信や宇宙通信などの国防用途に半導体を提供しており、米政府が補助金を交付する大きな狙いはここにあるとみられる。また、同社は米自動車大手、General Motors(GM)とのパートナーシップを締結しており、GM向けを中心とした自動車用半導体も製造することになる。2工場を組み合わせることで、マルタ工場の生産能力は今後10年で3倍に増加し、ウエハ生産は年間100万枚まで増える見込みである。一方、バーモント州の工場では、8インチ対応の施設の更新に加え、電気自動車や5G、6G通信、スマートフォンなどに使用するGaNの大量生産が可能な施設を整備する。 

 なお、補助金に加えて16億ドルの融資も利用可能となり、両州への投資総額は125億ドルになる可能性がある。この投資により、今後10年間で約1,500人の技術者の雇用と約9,000人の建設関連の雇用が創出される見通しである。 

同社CEOのトーマス・コーフィールド氏は今回の政府による補助金について、「半導体製造に対する投資税額控除 (ITC) とともに、GFのストーリーと業界の次の章の中心となる」としたうえで、「米国の半導体エコシステムの世界的な競争力と回復力を高める上で重要な役割を果たすだろう」と期待を述べた。また、「新たな生産能力と技術の登場が目前に迫っており、業界として米国製チップの需要の増加と米国の優秀な半導体労働力の育成に目を向ける必要がある」と述べ、その重要性についても強調した。 

出典:Biden-Harris Administration Announces Preliminary Terms with GlobalFoundries to Strengthen Domestic Legacy Chip Supply for U.S. Auto and Defense Industries