韓国Samsung Electronics社は2021年1月28日、2020年度第4四半期(2020年10月〜12月)および2020年度通期(2020年1月〜12月)業績を発表した。
2020年度第4四半期の半導体事業の売上高は18兆1,800億ウォンで、前年度同期比8%増、前期比3%減となった。営業利益は3兆8,500億ウォンで、前年度同期比13.2%増、前期比30.5%減となった。
メモリ事業の売上高は13兆5,100億ウォンで、前年度同期比2%増、前期比5%減となった。売上量はモバイル、データセンタ、PCなどでの需要が堅調で、売上量は増加したが、価格低下の影響から売上高は低下した。利益面はドル安と設備投資の拡大により大幅な減少となった。DRAMはモバイル分野で売り上げを伸ばした。NAND型フラッシュメモリに関しては、中国向けを中心にスマートフォンへの搭載量増加が売上高を支えている。
システムLSIの売上高は4兆6,700億ウォンで、前年度同期比29%増、前期比3%増となった。ウォン高の影響はあったが、ファンドリ事業も含めて、世界の顧客から安定した受注を獲得している。ファンドリ事業は過去最高の売上高となった。
同期のディスプレイ事業の売上高は9兆9,600億ウォンで、前年度同期比24%増、前期比36%増となった。営業利益は1兆7,500億ウォンで、前年度同期比約8倍、前期比約3.7倍となった。モバイル向け中小型パネルの急速な伸びが牽引した。
2020年度通期の半導体事業の売上高は前年度比12%増の72兆8,600億ウォン、営業利益は同34%増の18兆8,100億ウォンとなった。メモリの売上高は同11%増の55兆5,400億ウォンとなった。DRAMは年前半からモバイル、データセンタ向けに需要が回復、通期でも大きな成長となった。システムLSIの売上高は同18%増の17兆3,200億ウォンとなった。
ディスプレイ事業の売上高は同2%減の30兆5,900億ウォンとなった。営業利益は42%増となった。稼働率の向上に加えて、モバイル機器向けのOLEDの需要増が利益の向上につながった。
通期の設備投資額は、半導体向けが32兆9,000億ウォン、ディスプレイ向けが3兆9,000億ウォンとなった。半導体分野ではDRAM向け生産能力の拡大、先端プロセスの増強に向けられた。また、ファンドリ事業では、5nmプロセスの量産確立に向けてEUVの導入、対応施設の立ち上げを行った。
2021年の第1四半期については、メモリ事業ではモバイル、データセンタ向けに売上高は堅調に推移するが、ウォン高と先端ライン向け投資が継続されるため、利益の減少が見込まれる。システムLSIについては、SOC、CMOSイメージセンサ(CIS)、ディスプレイドライバなどの売り上げ増が期待できる。ファンドリ事業では、SoC向けの5nmプロセス、HPC向けの8nmプロセスの拡大が見込まれる。
ディスプレイ事業に関しては、2020年度第4四半期の勢いが継続されるものと予想される。
2021年通年では、メモリ、特にDRAMについてはモバイル、データセンタ向けを中心に年前半からの回復を見込んでいる。ただ、米中摩擦など地政学的な不安要素もある、とした。システムLSIでは5Gおよび高解像度センサ関連製品の需要拡大、ファンドリ事業ではEUVベースの5nmプロセス需要の拡大が期待できるとしている。さらに3nmプロセスの第1世代、第2世代の立ち上げに向けてライン強化を進めていく見込みである。