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GNCレター
NTTは2025年12月9日、窒化アルミニウム(AlN)系高周波トランジスタの動作に成功したと発表した。同社によれば、これは世界で初めてだという。ミリ波帯における増幅が可能であり、今後更なる高出力化の開発を進めることで、ポスト5G時代の無線通信サービスの向上のほか、衛星通信、レーダーなど幅広い応用が期待される。
AlNは従来の窒化ガリウム(GaN)などのワイドバンドギャップ半導体よりもさらに高い絶縁破壊電界を持ち、高出力高周波デバイスの性能指数ではGaNの5倍を誇る。電力損失はシリコン(Si)の5%未満、炭化ケイ素(SiC)の35%、GaNの50%にまで低減できる。同社は高品質なAlN薄膜の成長技術を開発し、2022年に「世界で初めて」(同社)AlNの半導体化に成功したとしている。また、AlNトランジスタやショットキーバリアダイオードの動作も実証していた。
ところが、AlN系半導体である窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を高周波トランジスタに用いる際、Al組成を高めるほど性能指数が向上するが、電極の接触抵抗とチャネル抵抗が増加してしまうため、Al組成が75%を超えると高周波動作が困難になるという課題があった。
同社は2つの技術を開発し、これらの課題を克服した。まず、AlGaNチャネル層に直接電極を形成していた従来構造を見直し、電極とチャネルの間にAlGaNコンタクト層を挿入することでエネルギー障壁を低減。これによって接触抵抗の増加を抑えた。また、分極ドープAlGaNチャネル構造によって高濃度の3次元電子ガスを形成し、チャネル層の電子密度を高め、チャネル抵抗も低減させた。
これらにより、ドレイン電圧に対するドレイン電流の優れた立ち上がりを確認。Al組成75%超の領域で高周波電力増幅動作を確認したほか、最大動作周波数はミリ波帯79GHzに到達し、これは「これまで報告されているAlN系トランジスタの中では最高値」であるという。
今後は、この高周波トランジスタの大電力動作の実証に向けて、より大電流・大電圧の動作が可能なデバイス構造を設計し、パワーデバイスから無線通信デバイスまで広く応用可能な技術の研究開発を進めていくとしている。
出典:NTT ニュースリリース
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